2019年10月25日、ティーフェス期間(10/17~11/13)の特別企画「秋を彩るTEAワークショップ」第一弾「国産紅茶を学ぶ」が、アフタヌーンティー・ティールーム フレル・ウィズ自由が丘で開催されました。

外光が差し込む店内の一角で、お客様をお迎えするセッティングが始まります。

この日は、岡山県新見市で紅茶農園を営む宮本英治さんをゲストにお迎えしました。2016年より、毎年冬の商品として販売している岡山県産紅茶。昨年の3月には、宮本さんの農園の一角でAfternoon Tea TEA GARDENがスタートし、茶摘みのお手伝い(体験)を通して、色々とご指導いただいています。今日は、ご自身が手掛ける紅茶農園の四季の様子や、紅茶ができるまでの工程等をレクチャーしていただきます。

ご用意いただいた資料と共に動画を交えてご説明いただきました。摘んだ茶葉からの製造工程を伺い、ミルクティーに向く丸い粒状(CTC製法)の茶葉を仕上げるローターバンと呼ばれる機械の動きを見せていただいたり、この夏に導入されたばかりのティーバッグ製造機(国内初とのこと)のお話が続きます。

宮本さんの農園は、インドのダージリン地方によく似た地形と気象条件から、ダージリンのような香り高い紅茶が作られることや、冬の時期(1~2月)には雪が積もり、茶の樹も雪で覆われるのですが、その間茶の樹たちは、寒さの中でゆっくり休みながら、自ら春の新芽を育てる養分を蓄えるというお話を伺い、紅茶はその土地の気候風土によって様々な特徴が生まれる「農作物」であることを、あらためて実感します。

宮本さんの、身振り手振りを交えた表現力豊かなお話に惹き込まれ、広大な農園の様子に想いを馳せたところで、紅茶を美味しく淹れる実践が始まります。美味しい淹れ方のデモンストレーションをご紹介した後に、お客様ご自身で淹れていただきます。茶葉は「アフタヌーンティーブレンド」を。リーフのアッサムとニルギリのブレンドで、茶葉5gに対し熱湯350ml(ティーカップ約2杯半分)を使います。

茶葉を蒸らすガラスのポットとティーポットを2つ用意して、ガラスのポットをよく温めた後に、そのお湯をティーポットに移してティーポットを温めます。温まったガラスのポットに茶葉を入れ、沸かしたての熱湯を注ぎふたをして3分蒸らします。熱湯の中でジャンピングしながら、茶葉はゆっくりと開いて葉の持つ旨みを、じっくりお湯に移していきます。
時間が来たらガラスのポットのふたを開け、紅茶の濃さを均一にするために、ティースプーンでひらがなの「し」の字を書くようにひとかきします。沈んだ茶葉をかき起こしたら、自然な速度でティーポットに茶こしで移し、最後の一滴まで静かにこします。最後の一滴はベストドロップと呼ばれ、紅茶の旨みが凝縮されると言われています。
紅く美しい色の、熱々で香り高い紅茶が出来上がりました。ティーカップに約八分目まで注ぎます。

それではお客様の実践がスタートです。1つひとつ同じ手順で、皆さん一斉に淹れていきます。
湯通しした茶こしで、最後の一滴/ベストドロップをティーポットに移す瞬間は、皆さま、真剣な面持ちでガラスのポットを傾けていました。

ご自身で淹れた紅茶を、まずはひと口、口に含んでいただいて、味わいを確かめます。この瞬間は、いつも静かな時間が流れます。

それでは、お待ちかねのティータイムへ。定番スイーツ(ハーフサイズ)4種の盛り合わせがサーブされます。店長より、「スイートポテトプディング」、「アップルパイ」、「苺のショートケーキ」、「いちじくと紅茶のフルーツケーキ」それぞれの味の特徴や美味しさを案内させていただきました。

ティータイムをお楽しみいただいている間、宮本さんの農園で育つ、夏摘みの紅茶を淹れて試飲していただきました。「ホットティーをグラスに注ぐと、茶液がゆらゆらと煌めいてとても美しいので、時にはこんな風にお飲みいただくのもおすすすめです。」とお伝えしながら、立ち上る芳しさと、時折感じる飴のような、ふくよかな茶葉の甘みに感動し、目を見開いて「美味しいですね!」と声を発するお客様も。しばし夏摘みの味わいをご堪能いただきました。

4種のスイーツと、宮本さんの夏摘み紅茶をお楽しみいただきながら、引き続き、日本の紅茶の歴史についてお話をいただきました。宮本さん所蔵の資料もいくつか見せていただき、紅茶を作る工程が記載された当時の書物や、日本で紅茶づくりを始めるきっかけとなった政府の資料など、いずれも大変貴重なものと拝察します。

紅茶を作る工程が書かれた書物の中で、宮本さんご自身がお好きだというフレーズをご紹介くださいました。また、なかなか拝見する機会のない「お茶の実」も、お持ちいただきました。

皆さまからのいくつもの質問に笑顔で応じる宮本さん。気さくなお人柄に、場の雰囲気も一気に和みます。
最後は、鈴木マサルさんデザインのスペシャルBOXに、皆さまお好きな紅茶10個を詰めてお持ち帰りいただきました。

宮本さんにお持ちいただいた書物の数々。上京された折には、古本屋街を巡り歩いて、貴重な書物との出会いやご縁を大切にされています。

またの機会に、別のテーマでの第2弾も企画したいと思います。
TEAワークショップにご参加くださった皆さま、宮本英治さん、どうもありがとうございました。

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